賀篭沢遺跡の研究

東北学院大学文学部歴史学科佐川ゼミナール(考古学)が2003年度から進めている
後期旧石器時代の玉髄原産地遺跡・賀篭沢(かござわ)遺跡(宮城県柴田郡村田町)
の調査研究についてご紹介します。
調査終了!
天気 曇り時々雨

作業内容
3名は宿舎に残り、宿舎の整理。ほかは、発掘現場での埋め戻し作業と現場の撤収。
M・N-16東壁の土層をもう一度検討したのち、旧トレンチの埋め戻し作業に入る。埋め戻し完了後、埋め戻した状況を写真に収め、現場で使用した機材の搬出をおこなう。午前中のうちに現場での作業をすべて完了する。
昼食と入浴を済ませたのち、機材を積み込み、宿舎の清掃をして、15時までに山の学校を撤収する。

旧トレンチ東壁土層断面
M-16eのチップの密集は、東壁の土層断面の観察により、自然の落ち込みに溜まったものと判断される。

埋め戻し作業
埋め戻しの作業風景。

現場の撤収作業
埋め戻しが完了したのち、発掘機材を整理。

撤収完了!
撤収した後の賀篭沢遺跡。本ゼミナールの4年におよぶ賀篭沢遺跡の発掘調査は、ひとまず終了する。今後とも、出土石器の分析やトゥールの供給先となった遺跡の探索など、在地型(玉髄)原産地遺跡である新川流域遺跡群の実態解明にむけて、賀篭沢遺跡の研究は続く。

「山の学校」からの撤収
築120年の古民家を利用した「山の学校」。囲炉裏端のまわりでは、いつも話に花が咲いた。そんな「山の学校」とも、しばしの別れ…。

来跡者(敬称略)
渋谷 孝雄  (財)山形県埋蔵文化財センター
| 調査日誌 | 22:28 | - | -
M-16eでさらに石器が密集
天気 曇り

作業内容
昨日のサンプリングの際に、M-16e・h以外で石器が出土しないことから、サンプリングする位置をこのM-16e・hに限定する。3cm程度掘り下げた段階でM-16eにチップなどの石器が集中し、サンプリングする位置をさらにこのM-16eにしぼる。M-16eを3cm程度掘り下げ、M-16e東壁寄り中央にのみ、ごく狭い範囲に石器が密集することが判明する。平面上で落ち込みなどの輪郭の確認は、6層上面の精査の段階ではできなかった。しかし、石器の出土状況は、落ち込みなどに石器が溜まっている状況を示す。したがって、落ち込みなどの有無を確認するために、M-16b・e・hの東壁寄りに幅20cmの小トレンチを設け、土層の堆積状況を再度検討する。7層上面まで掘り下げた後、土層断面を線引きし、写真撮影。また、断面図と平面図に掘り進んだ部分を書き足しをおこなう。なお、今回の調査において旧トレンチで出土し、その位置を記録した石器は600点以上となる。
旧トレンチの土層断面図、土層注記、平面図の書き足しと、旧トレンチ北側の埋め戻しを同時平行でおこなう。
調査終了の前日なので、一部の機材を本校へ運送し、宿舎の整理をおこなう。

平面図、断面図などの書き足し
旧トレンチの下場、サンプリングした位置などを書き足す。

旧トレンチの埋め戻し
サンプリングや書き足しなどの作業が終わった旧トレンチ北側を埋め戻す。

M-16e石器出土状況
本日1度目のサンプリングを終えた段階。M-16eに石器が集中している。

土層検討のための小トレンチ
M-16b・e・h付近の土層の堆積状況を調べるために、壁に沿って小トレンチを設ける。

妙案!
移植ごてを利用した蚊取り線香の灰受け。発掘道具を使ったナイスなアイディア!ちなみに、この発案者は写真の奥。

来跡者(敬称略)
伊東 裕輔  (佐川ゼミOB・調査参加)
| 調査日誌 | 00:37 | - | -
M-16e・hでチップが密集
天気 曇り時々晴れ

作業内容
旧トレンチにおいて、昨日出土した遺物の出土位置の記録と取り上げをおこない、5層下部を掘り下げる。本日の掘り下げでは、石器の出土量がM-16e・hで濃密となり、その周辺で散漫な分布になる。また、M-16e・h付近ではチップが密集していることから、チップ回収のため、旧トレンチ全体を3cm程度掘り下げた土を小グリットごとに土壌をサンプリング。なお、M-16e・h付近は炭化物も密集する。
旧トレンチの土層注記の補足をおこなう。
旧トレンチ全体で6層上面を検出したのち、旧トレンチの平面図と6層上面のコンターマップ(等高線図)の作成。その後、全面的に清掃して、旧トレンチ平面と土層断面(東・西・南・北)の写真撮影をおこなう。

旧トレンチ5層下部の掘り下げ
作業風景。

M-16e・hのチップの密集状況
5層下部でのチップと炭化物は、M-16e・hを中心として濃密に分布する。

平面図作成の作業風景
旧トレンチの平面図とコンターマップの作成。図面の書き方について、実際の作業を通して学ぶ。

5層下部のサンプリング
旧トレンチのサンプリング風景。今後、水洗別作業によりチップを回収し、小グリットごとの分布密度について検討する。

現場スナップ
サンプリングの作業風景。

来跡者(敬称略)
伊東 裕輔  (佐川ゼミOB・調査参加)
| 調査日誌 | 23:36 | - | -
台風が…
天気 曇り時々小雨

作業内容
引き続き台風接近のため、作業ペースを上げる。
旧トレンチでは、昨日に引き続き5層の掘り下げ、6層上面の検出を目指す。出土遺物位置の記録と取り上げ、東・西・南・北壁の土層断面図の作成も、同時平行でおこなう。今日まで、500点以上の石器がみつかった。
1・2区は、埋め戻して調査終了。

旧トレンチの作業風景1
出土位置の記録と掘り下げを同時平行で進める。

旧トレンチの作業風景2
土層断面図の作成も同時に作業。

旧トレンチ6層上面の検出状況
本日の作業終了時の旧トレンチ。トレンチのほぼ全体に6層上面が検出されている。現在、石器の出土はM-16h付近に集中しており、とくにこの付近ではチップ、炭化物が多くみつかっている。

1・2区の埋め戻し
1・2区の埋め戻しの作業風景。

作業が終わって…
今日の作業終了後の夕焼け。台風の直撃は避けられたから、空に流れる雲がなおさら綺麗にみえる…。

来跡者(敬称略)
伊東 裕輔  (佐川ゼミOB・調査参加)
下岡 順直  (日本学術振興会特別研究員PD:年代学・古文化財科学 ・調査参加)
| 調査日誌 | 23:13 | - | -
年代測定のための作業
天気 晴れ時々曇り

作業内容
台風接近のため、作業ペースを上げる。
旧トレンチでは昨日に引き続き、遺物の出土位置を記録し、取り上げをおこなう。取り上げた後、再び5層の掘り下げを進める。下岡氏により旧トレンチ北西角で、5層上部・下部と6層の土層サンプリングをおこない、5層中部と6層にルミネッセンス年代測定のために検定棒を埋設。
1区では、5層上部を掘り上げ、土層断面の線引きをおこなう。線引き後、清掃して5層上部の検出状況の写真を撮影する。撮影後、5層上部の遺物の位置を記録し取り上げて、北・東壁の断面図を作成し、作業終了。
2区では、5層上部を掘り上げ、清掃して5層上部の検出状況の写真を撮影する。撮影後、5層上部の遺物の位置を記録し取り上げて、北・東・西壁の断面図を作成し、作業終了。
下岡氏と大場は、安達愛島軽石(Ac-Md)の噴出年代について再測定するため、示準露頭である川崎町安達に向かう。

検定棒の埋設作業
今回、石器集中部の近くで、ルミネッセンス年代測定のための土層サンプリングと検定棒の埋設をおこなう。

1区5層上部検出状況
1区最終検出面(5層上部)。1区では、4・5層から16点の石器が見つかっている。

2区5層上面の検出状況
2区最終検出面(5層上部)。2区では、4・5層から20点の石器が見つかっている。1・2区は、旧トレンチ付近を中心にした石器集中部の縁辺付近にあたる可能性がある。

来跡者(敬称略)
石黒 伸一朗 (村田町歴史みらい館)
下岡 順直  (日本学術振興会特別研究員PD:年代学・古文化財科学 ・調査参加)
| 調査日誌 | 21:52 | - | -
前半日程の実習生が帰仙し、あらたに後半日程の実習生が来る
天気 晴れ時々曇り

作業内容
現場での作業は午前で終了し、午後は休息。
旧トレンチでは、昨日まで出土した石器に遺物ナンバーをふり、そのあと写真撮影のために清掃をおこなう。清掃の土壌については、小グリットごとにサンプリングし、今後チップなどの微細遺物を検出するため水洗別作業をおこなう予定。写真撮影の後、遺物の出土位置を記録し、同時に遺物出土の個別写真を取り、取り上げもおこなう。本日まで、旧トレンチでは石器が200点以上見つかっている。
1・2区では、平面図と5層上面のコンターマップ(等高線図)の作成。作成終了後、5層上面を5cm程度掘り下げをおこなう。
宿舎では、これまで出土した遺物の洗浄と、機材の手入れをおこなう。
本日、前半日程で参加の実習生が帰仙し、また新たに後半日程参加の実習生3人が宿舎に到着する。

サンプリングの様子
土壌の水洗別作業により、石器製作の際にでる微細なチップ(1mm以下の砕片)を回収する予定。

黒耀石製の石刃核
旧トレンチ5層上部からは、5cm大の黒耀石製の石刃核が見つかっている。黒耀石は、表面の肉眼観察から遺跡から、北西に約4kmはなれた谷山産のものと思われる。

1・2区の図面作成
コンターマップ(等高線図)を作成し、5層の傾斜について記録を残す。

1・2区の5層掘り下げの様子
本日、1・2区では5層上部から1区で石器が1点、2区で石器が2点出土している。旧トレンチの石器分布に比べて、その出土量はかなり少ない。

調査参加者の集合写真
今年度の調査では、調査参加者全員が一堂に会して記念写真を撮った。

来跡者(敬称略)
上野  晃平 北海道大学理学研究院技術部(佐川ゼミOB・調査参加)
| 調査日誌 | 08:13 | - | -